消化器疾患について
虫垂炎や腸重積、腸閉塞など緊急性の高い病気を見逃さないよう、超音波検査なども行いながら適切に診断対処いたします。また便秘症に対し生活指導、薬剤治療を行います。血便・下痢・便秘の場合には便の写真を持参していただくと診療の参考になります。
対象症状
- 便秘
- 下痢
- 血便
- 嘔吐(頻回で持続する場合に特に注意が必要です)
- 腹痛(徐々に強くなる場合に特に注意が必要です)
消化管の病気
肥厚性幽門狭窄症
生後まもなくの赤ちゃんでだんだんと胃の出口が狭くなって嘔吐が激しくなる病気です。超音波検査で診断します。
胃十二指腸潰瘍
ヘリコバクター菌の検査が必要です。
急性胃腸炎
- ウイルス性(ロタウイルスやノロウイルスなどによるもの):水分の補給、糖質の補給が重要です。
- 細菌性腸炎(キャンピロバクター、サルモネラ、大腸菌などによるもの):
実際に便を見せていただいて診断します。抗菌剤を処方いたします。
急性虫垂炎
急性腹症の代表です。虫垂が穿孔すると腹膜炎をおこし重症化します。少しでも疑いがあれば超音波検査、血液検査で早期診断に努めます。
腸重積症
乳幼児期に腸閉塞をおこす疾患の代表です。時間がたつと腸穿孔を起こします。赤ちゃんが急に不機嫌になったら要注意です。超音波検査が最も有効です。
乳児良性血便
元気なお子さまで大腸のリンパ節が腫れて表面から出血します。血便を主訴に来院されることが多いです。
大腸ポリープ
大腸にできた良性の腫瘍の表面から出血します。血便で見つかることが多いです。
便秘症
便秘とは、便が長い期間出ないか、出にくいことをいいます。排便が週に3回より少なかったり、5日以上出ない日が続けば便秘と考えます。毎日出ていても、小さいコロコロの便であったり、出す時に痛がって泣いたり、肛門が切れて血が出るような場合も便秘です。腸に便が溜まりすぎると、少量の便が頻繁に漏れ出るようになります。ですから、軟らかい便が少しずつ、1日に何回も出ている場合も便秘の疑いがあります。便秘症は「よくある病気で、たいしたことではない」と考えられがちですが、便秘症のお子さまは、便をするときにとても痛い思いをしたり苦しんだりしていることが多く、決してほっておいてよい病気ではありません。また、便秘症はきちんと治療しないと「悪循環」を繰り返してどんどんひどくなり、しまいには「巨大結腸症」といって腸が異常に膨らんでしまったり、遺糞症といっておもらしが続く状態になってしまうこともあります。当院では器質的疾患を除外したのち、生活指導と適切な投薬で便通をコントロールしていきます。
潰瘍性大腸炎/クローン病
年長のお子さまにみられる慢性の腸疾患です。長期に渡り付き合っていかなければならない疾患であり、学校生活や旅行、受験など子どもたちは病気と付き合う中で様々な悩みと向かい合っていきます。子どもたちが健全に学校生活や日常生活を送れるようにサポートします。
その他
アレルギー性胃腸症、好酸球性消化管疾患、血管性紫斑病(IgA血管炎)など
肝臓、胆道、膵臓の病気
胆道閉鎖症
胆汁の十二指腸への通り道である胆管が閉鎖する病気で、生後数か月までの間に症状が現れます。腸へ胆汁を流せないため肝臓の中に胆汁が溜まり徐々に肝臓の組織が破壊されて早晩肝硬変になります。なるべく早く治療することが大切です。頻度は、約1万人に1人と稀な病気で、女児の方が男児の約2倍多く発生します。詳しい原因は不明です。主な症状は黄疸、便色異常(薄い黄色からクリーム色の便)、濃黄色尿です。症状経過と超音波検査等で早期に診断し、外科的に胆汁の腸への排泄ルートを作ります。
先天性胆道拡張症
小児に多い、胆管が拡張する病気です。多くの例で膵・胆管合流部に異常を認めます。症状は胆汁うっ滞による腹痛、上腹部腫瘤、黄疸、便色異常、発熱、膵炎による腹痛、嘔吐などです。腹部超音波検査と血液検査で診断します。外科的治療が必要です。
脂肪肝
近年肥満のお子さまをみる機会が多くなりました。子どもでも高度肥満の場合は高血圧や糖尿病など成人病のような合併症を起こすことがあります。また目立たないけれども結構難儀になる可能性のある合併症として脂肪肝があります。脂肪肝とは食べ過ぎや運動不足のために余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり肝臓に過剰に貯まった状態をいいます。このうち少数ではありますが、脂肪蓄積によって肝臓に慢性的な炎症を起こし最終的に肝硬変になるような例もあります。診断は血液検査と超音波検査など画像検査で行います。血液生化学検査としてはALT優位のトランスアミナーゼの上昇、γGTPの軽度の増加がしばしばみられます。適切な生活指導にて体重を落としていくことが重要です。
慢性肝障害、胆汁うっ滞症
主な疾患としてシトリン欠損症、アラジール症候群、家族性進行性肝内うっ滞症、ウィルソン病、糖原病があります。
急性膵炎
急性膵炎は,膵臓が自ら分泌する強力な消化酵素によって消化されてしまう病気です。原因には細菌やウイルスの感染、胆石、外傷、膵胆管合流異常症などがあります。症状は腹痛、嘔吐、発熱などです。重症の場合多臓器不全をまねき死亡することもありますので油断できません。血液検査では白血球が増加し、アミラーゼやリパーゼなどの膵臓から分泌される酵素が血液中に増加します。画像検査では超音波検査やCT検査が役立ちます。小児では少ない病気なので診断が遅れがちですが、重症になると死亡率が高く早期診断が重要です。