伊丹市の小児科、予防接種

予防接種
予防接種

予防接種

生後2か月からいろいろな予防接種がはじまります。種類がとても多く、何をいつ接種したらいいのかわかりにくいと思います。ご相談いただければいっしょにスケジュールを組ませていただきます。
直接窓口で、またはお電話で受付けいたします。

ワクチン

定期予防接種(定期対象者全額公費)

国が接種を勧奨し、保護者には接種する努力義務のあるワクチンです。
国が定めた年齢の範囲内に接種すれば公費で接種できます。以下のようなものがあります。

B型肝炎 Hib(ヒブ) 肺炎球菌 ロタ 四種混合(DPT-IPV) BCG 麻しん風しん(MR) 水痘 日本脳炎 二種混合(DT) 子宮頸がん
注:定期接種対象のワクチンでも定期接種の対象年齢でない場合は任意接種になります。

病気とワクチンの説明

ワクチンの接種時期についての説明は定期接種の場合を記載しています。

B型肝炎

B型肝炎ウイルスによっておこる急性・慢性の肝炎です。急性肝炎はまれに劇症肝炎となって致命的になることがあります。また慢性肝炎は肝硬変、肝がんに進行する可能性があります。ウイルスは主に血液を介して感染します。通常の生活で感染することはまれなので、以前は両親などごく身近な方がこのウイルスに感染している場合や、医療関係者などに限ってワクチン接種が行われていました。

しかし近年、感染経路が不明の例も少なからず存在すること、性行為で感染し高率に慢性化するタイプのB型肝炎ウイルスが増えてきたことなどから、平成28年10月より赤ちゃん全員に接種する定期接種ワクチンになりました。

ワクチン

1回目と2回目は27日以上あけて、3回目は1回目から139日以上あけて1歳になるまでに接種します。
生後2か月になったら下記のHibワクチンや肺炎球菌ワクチンと一緒に接種されることをおすすめします。

Hib(ヒブ)感染症

Hibはインフルエンザb型菌(Haemophilus influenzae type b)の略称です(インフルエンザウイルスとは全く別物です)。この細菌は髄膜炎、敗血症、喉頭蓋炎などの重篤な感染症をおこします。

Hibによる髄膜炎は2011年にワクチン接種が始まる前には年間400人の発生があり、死に至ったり、助かっても神経障害、水頭症、てんかん、難聴などさまざまな後遺症をひきおこすため小児科医がもっとも恐れる病気のひとつでした。生後数ヶ月から2歳までが好発年齢です。
早期診断がむずかしく治療も簡単ではありませんのでワクチンで予防するのが一番です。

ヒブ(Hib)感染症

ワクチン

日本を含めこのワクチンを定期接種にした国ではHibによる髄膜炎患者が激減しました。生後2か月になったらできるだけ早い時期に接種を開始してください。
標準的には、生後2ヶ月になったら初回接種として27日以上の間隔をおいて3回、さらに追加接種として3回目より7か月以上の間隔をあけて1回接種します。

肺炎球菌感染症

肺炎球菌は小児の中耳炎、気管支炎、肺炎、敗血症、髄膜炎の主な原因菌です。病原性が強く進行も早いのが特徴です。

肺炎球菌による髄膜炎は2011年にワクチン接種が始まる前には年間150人の発生があり、死に至ったり、助かっても神経障害、水頭症、てんかん、難聴などさまざまな後遺症をひきおこすため小児科医がもっとも恐れる病気のひとつでした。乳幼児期に好発します。
早期診断がむずかしく治療も簡単ではありませんのでワクチンで予防するのが一番です。

肺炎球菌感染症

ワクチン

この細菌の中で特に重症感染を引き起こしやすい13種類の型に対して有効なワクチンです。日本を含めこのワクチンを定期接種にした国では本菌による重症感染症が激減しています。
標準的には、生後2ヶ月になったら初回接種として27日以上の間隔をおいて3回、さらに追加接種として3回目より60日以上の間隔をあけて1歳以後に1回接種します。
( 注:成人用の肺炎球菌ワクチン:ニューモバックスは高齢者用のワクチンで小児に接種するものとは異なります)

ロタウイルス感染症

胃腸炎をおこすウイルスはたくさんありますが、重症になりやすいのがロタウイルスによる胃腸炎です。頻回の嘔吐や水様性下痢がみられ、幼少児では脱水を起こして点滴や入院が必要になることがしばしばあります。まれではありますが脳炎や腎不全など重篤な合併症を引き起こすこともあります。
伝染力が強く家族内や保育所などであっという間に広がります。ワクチンによる予防が重要です。

ワクチン導入前の日本では毎年8万人が入院し約10人のお子さんが亡くなっていましたが、ワクチンによって入院数、死亡数ともに著明に減少しています。

ロタウイルスワクチン

ワクチン

2020年10月より定期接種になりました。現在2種類のワクチン(ロタテック・ロタリックス)があります。
どちらも経口のワクチンです。二つのワクチンには下記のような違いがありますが、効果と安全性に違いはありません。

ロタリックス [1価 / 2回接種]

検出率の一番高い1種類のロタウイルスを弱毒化したワクチンです。交差免疫によってほかの種類のロタウイルスにも有効であることがわかっています。
4週間隔で2回接種します。遅くとも生後14週6日までに1回目を受け、生後24週0日までに接種を完了します。生後24週以降は接種することができません。

ロタテック [5価 / 3回接種]

検出頻度の高い5種類のロタウイルスを弱毒化したワクチンです。
4週間隔で3回接種します。遅くとも生後14週6日までに1回目を受け、生後32週0日までに接種を完了します。生後32週以降は接種することができません。

両方のワクチンともに初回接種は14週6日までに行うことが推奨されています。これは、低い月齢で接種した方が腸重積症(腸閉塞の一種)という副反応が起こりにくいからです。

百日咳

百日咳菌と呼ばれる細菌が気道に感染しておこり、長期間続く強い咳を主訴とする病気です。昔に比べれば減りましたが年間1万人くらいがかかっていると推定されます。大人はかかっても咳が長引くくらいですみますが、生後6か月まで(特に生後3か月以下)の乳児が感染すると重症化します。
鼻水と軽い咳で始まりしだいに咳がひどくなります。ついには10秒以上も途切れなく続く激しい咳発作になり、発作中は息ができません。そのため発作が頻回になってくると低酸素状態になったり、けいれんしたり、そのまま息が止まって死亡することもあります。完治するまで2~3か月かかります。

ワクチン

四種混合ワクチンにはジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つの感染症に対するワクチンが含まれています。生後3か月から初回接種として20日以上の間隔をおいて3回接種し、3回目より標準1年以上あけて1回追加接種します。

ジフテリア

ジフテリア菌がのどなどに感染しておこります。この菌は、ジフテリア毒素を大量に出して神経や心臓の筋肉を侵します。現在はワクチンと有効な抗菌薬があるためほとんど患者はいません。
しかしワクチン接種を中止した旧ソ連などでは流行がおこり多数の患者が出ました。
のどで強い炎症が起こり空気の通り道がふさがって呼吸できなくなったり、神経麻痺や心筋障害で死亡することがあります。

ワクチン

四種混合ワクチンにはジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つの感染症に対するワクチンが含まれています。生後3か月から初回接種として20日以上の間隔をおいて3回接種し、3回目より標準1年以上あけて1回追加接種します。さらに11歳になったら、ジフテリアと破傷風の二種混合(DT)ワクチンを接種します。

破傷風

破傷風菌が傷口から入って体の中で増え、筋肉をけいれんさせる破傷風菌毒素を大量に出すためにおこる病気です。
大きなけがでなくても、ガーデニングなどでできる小さな傷からでも菌がはいることがあります。けがをしてしばらくしてから、顔の筋肉を動かしにくい、笑ったように引きつった顔になるなどの症状が現れます。その後全身の筋肉にけいれんがおこります。意識は侵されないのでたいへん痛く苦しい病気です。日本で年間100名以上がかかり5人~9人が死亡しています。多くはワクチンを受けていなかった人です。

ワクチン

四種混合ワクチンにはジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つの感染症に対するワクチンが含まれています。生後3か月から初回接種として20日以上の間隔をおいて3回接種し、3回目より標準1年以上あけて1回追加接種します。さらに11歳になったら、ジフテリアと破傷風の二種混合(DT)ワクチンを接種します。

ポリオ

ポリオウイルスの感染によっておこります。感染した人の約1,000人に1人の割合でウイルスが運動神経細胞を破壊し四肢麻痺や呼吸筋麻痺が起こり、致死的になったり後遺症として麻痺を残したりします。
日本では昭和30年代に大流行しましたが、ソ連やカナダからポリオのワクチンを緊急輸入して流行を抑え込みました。
約30年前からほとんど報告されていませんが、世界では南アジアやアフリカなど一部の地域で現在でも流行しており、またワクチンを接種しなくなった地域で再び流行がおこったりしています。
世界との交流が盛んな現代ではワクチンの定期接種を中止すれば必ず流行がおこると考えられています。

ワクチン

四種混合ワクチンにはジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つの感染症に対するワクチンが含まれています。生後3か月から初回接種として20日以上の間隔をおいて3回接種し、3回目より標準1年以上あけて1回追加接種します。

結核

結核菌の感染によっておこります。感染者がせきやくしゃみをした時にでる飛沫で感染します。肺に病巣を作るほか、脳を包む髄膜などでも炎症をおこすことがあります(結核性髄膜炎)。

昔は日本人の死因の第1位でした。結核患者の少ない先進国ではワクチンの接種をやめている国もありますが、日本ではまだまだ結核が多いのでワクチン接種が必要です。
日本の場合患者さんの多くは高齢者ですが、20~30歳台の若い方が感染し学校や職場で集団感染する例もあります。子どもはたいてい家族や身近な人から感染しますが、時には感染経路が不明のこともあります。乳幼児期に重症化しやすい病気です。粟粒結核という重い肺結核になったり、髄膜炎を併発してけいれんや意識障害をおこし、死亡したり重い脳障害を残すこともあります。

結核

ワクチン(BCG)

標準的には生後5~8か月で上腕にスタンプ式のワクチンを接種します。

麻しん(はしか)

麻しんウイルスの感染でおこります。約10日間の潜伏期間後に、発熱、咳、鼻汁、目やになどの症状で始まり、発熱4~5日目から全身に発しんが出ます。高熱が10日くらい続く非常につらい病気です。
肺炎や脳炎などの合併症を起こすこともあり、昔は「命さだめ」と言われ多くの小さいお子さんが命を落としました。稀ではありますが、麻しんに罹って数年してから亜急性硬化性全脳炎という病気を発症して亡くなるお子さんもいます。

現在日本は世界保健機関(WHO)から「麻しん排除国(国外から持ち込まれる以外には発生例がない国)」に認定されていますが、未だに外国から持ち込まれ頻繁に発生しています。伝染力が極めて強くワクチンによる予防が必要です。

ワクチン

MR(麻しん風しん混合)ワクチンで予防します。1歳になったらなるべく早く1回目を受けましょう。2回目は就学前の1年間で受けます(保育所、幼稚園の最年長クラスの児が対象)。

風しん

風しんウイルスの感染でおこります。約2~3週間の潜伏期間後に、発熱、首のリンパ節腫脹、発しんなどの症状が出ます。子どもの場合たいていは軽症ですみますが、稀に脳炎や出血が止まりにくくなる血小板減少症をおこすことがあります。成人の場合には倦怠感や関節痛がみられることが多いようですが、もっとも問題になるのは妊娠中の女性がかかった時に、胎児に難聴、白内障、心臓病、精神運動発達遅滞などの障害を起こすことがあることです(先天性風しん症候群)。

2012年~2013年にかけての風しんの流行では、先天性風しん症候群になった子どもは全国で45人に上り、このうち11人が心臓病や肺炎などのため生後1年余りまでに亡くなっています。有効な薬剤はありませんので、ワクチンで予防することが大切です。

ワクチン

MR(麻しん風しん混合)ワクチンで予防します。1歳になったらなるべく早く1回目を受けましょう。2回目は就学前の1年間で受けます(保育所、幼稚園の最年長クラスの児が対象)。

水痘(みずぼうそう)

水痘帯状疱疹ウイルスによっておこります。
約2~3週間の潜伏期の後に、全身にかゆみの強い発しんが出てきます。高熱を伴うこともあります。発しんは初めの2~3日は次々に増え、できたものから順に2日間ほどで黒いかさぶたになっていきます。

すべての発しんがかさぶたになるまでだいたい7日間くらいかかり、この間は伝染力があり通園、通学できません。病気や薬などで免疫力の落ちている子どもが罹ると脳炎や肺炎をおこして重症になり致命的になることもあります。

水痘(みずぼうそう)

ワクチン

1歳になったら1回目を、さらに1回目の接種後3か月以上あけて2回目を接種します。

日本脳炎

日本脳炎ウイルスによっておこります。蚊が媒介します。日本からフィリピン、インドあたりまでの東南アジアで多い病気です。
現在ワクチン接種の効果もあって国内の患者発生数は年間10名以下ですが、子どもの罹患例もあります。

今のところ圧倒的に西日本が多いですが、地球温暖化のために今後北へ広がると予想されています。感染しても多くの人は症状が出ませんが、まれに脳炎をおこすことがあります。脳炎になるとけいれんや意識障害がおこり、死亡したり重篤な後遺症を残したりします。有効な薬剤はありませんので、ワクチンによる予防が重要です。

ワクチン

第1期は生後6か月から接種できますが、多くの地域では3歳からの接種を推奨しています。標準的には3歳で2回、約1年後に追加として1回、各0.5mlを皮下注射します。さらに9歳~12歳に2期として0.5mlを1回接種します。(尚3歳未満で接種する場合の1回接種量は0.25mlです)

子宮頸がん

子宮入り口付近の「子宮頸部」にできるがんを「子宮頸がん」といいます。女性特有のがんの中では乳がんに次いで多いがんです。
近年20代後半~30代の方に急増中です。日本ではワクチン接種率が未だに低いため、毎年15,000人が子宮頸がんと診断され3,500人が死亡しています。子宮頸がんは初期には自覚症状に乏しく進行してはじめて不正出血などで気づくことが多いようです。進行すると子宮をすべて摘出する手術が必要になることもあり、妊娠、出産の可能性を失います。

このがんはほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが原因です。この発がん性ウイルスは、性交渉によって感染し女性の約80%が一生に一度は感染すると報告されています。中でも、HPV 16型とHPV 18型の2種類は子宮頸がん患者の70~80%から見つかっています。

子宮頸がん

ワクチン

すでに世界中でその効果と安全性は実証済みで世界100カ国以上で接種されています。ワクチンを接種することで将来子宮頸がんの発生を80パーセント減少させます。
サーバリックス(2価:16、18型)とガーダシル(4価:16、18、6、11型)の2製剤があります。いずれのワクチンも初めての性行為の前に接種を終了することが望ましく、約半年かけて計3回筋肉注射します。定期接種の対象年齢は小学6年生~高校1年生の女子です。
当院では主にガーダシルを接種しています。

任意予防接種(有料)

定期接種以外のワクチンで、保護者の希望により接種するワクチンです。自費になります。

以下のようなものがあります。

インフルエンザ おたふくかぜ 髄膜炎菌 狂犬病 A型肝炎

病気とワクチンの説明

インフルエンザ

インフルエンザウイルスによっておこる感染症です。
約1~4日の潜伏期間後に高熱、強い倦怠感、ふしぶしの痛み、咳、腹痛、下痢などの症状が現れます。高熱は5~6日続きます。気管支炎、肺炎、クループ(喉頭が腫れて息が苦しくなる)などの合併症がしばしばみられます。

小児では脳症を起こし死亡したり後遺症を残したりすることがあります(日本では毎年数百人が脳症を合併)。高齢者ではインフルンザに肺炎球菌などの細菌感染が加わって重い肺炎となり毎年多くの方が亡くなっています。伝染力が強く保育所、幼稚園、学校などの集団生活の場や家族内で広がります。
いくつかの治療薬(タミフル、リレンザ、イナビルなど)がありますが、発症してすぐに服用してもインフルエンザ脳症は予防できません。ワクチン接種をおすすめします。

インフルエンザン

ワクチン

インフルエンザウイルスは変異しやすいためその年に流行するウイルス株を予測して毎年製造されます。A型2種類、B型2種類、計4種類のインフルエンザウイルスに対し効果があります。
6か月以上3歳未満のお子さんには1回0.25 mlを、3歳以上13歳未満には1回0.5 mlを2~4週あけて2回皮下注射します。13歳以上には0.5 mlを1回接種します。

おたふくかぜ

おたふくかぜウイルス(ムンプスウイルス)の感染でおこる病気です。約2~3週間の潜伏期間後に、耳下腺や顎下腺などの唾液腺が痛みを伴って腫れます。熱がでることもあります。しばしば難聴、髄膜炎、膵炎、睾丸炎などの合併症を引き起こします。

難聴はおたふくかぜに罹ったお子さんの数百人に1人と高率にみられ(年間約700人)、たいてい高度の難聴になって一生患者さんを苦しめます。有効な薬剤はありませんので、ワクチンによる予防が重要です。

おたふくかぜ

ワクチン

1歳で1回目の接種、4~5年たって2回目の接種をおすすめします。

髄膜炎菌感染症

咳やくしゃみに含まれる飛沫で感染します。菌が血液や髄液などへ侵入すると、敗血症や髄膜炎などの重篤な病気を引き起こします。初期の症状は発熱、頭痛、嘔吐など普通の風邪と似ているため、早期診断が難しい病気です。

髄膜炎菌による敗血症や髄膜炎は、進行が極めて速く、治療が間に合わなくて致死的経過となることがしばしばあります。発症後2日以内に5〜10%が死亡すると言われています。
また10〜20%の割合で神経障害や手足の切断などの後遺症を残します。日本では海外と比較して報告数は多くありませんが、とくに寮生活など集団で密に暮らす環境では注意が必要です。ワクチンで予防できます。

ワクチン

対象は2歳以上56歳未満です。接種回数は1回で筋肉注射です。効果は3~5年は持続します。
高校や大学で入寮する場合や海外留学される場合は事前に接種されることをおすすめします。因みに米国では定期接種ワクチンとなっており11~12歳で1回、16歳で追加1回の接種を推奨されています。
またアフリカや中東、特に「髄膜炎ベルト」と呼ばれるサハラ砂漠以南、セネガルからエチオピアにかけての帯状の地域に含まれる国々へ渡航する時は必ず接種を受けてください。

狂犬病

狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれることによって感染します。感染すれば治療法はなく、まず100%死亡する恐ろしい病気です。

幸い日本では犬に対するワクチン接種を徹底したこと、島国でウイルスを持つ野生動物の侵入が難しいことなどにより、1957年以後人にも動物にも発生例はありません。しかし世界的には各地に存在し、犬、コウモリ、キツネなどに咬まれて近年でも毎年3万件をこえる報告があります。
海外に渡航される際はその地域の現状に合わせてワクチン接種をご検討ください。

ワクチン

対象は全年齢。狂犬病常在地への渡航前に接種してください。1回目を0日として7日と21日、または7日と28日に計3回筋肉注射します。

A型肝炎

A型肝炎ウイルスの感染でおこる急性の肝炎です。ウイルスに汚染された食品や飲料水から経口的に感染します。2~6週間の潜伏期間後に発熱、倦怠感、食思不振、嘔吐、黄疸などの症状がでます。1~2か月で治癒しますが、まれに劇症肝炎となって致命的になることがあります。小児では感染しても無症状か軽症で終わることがほとんどですが、高齢者では重症化しやすく50歳以上の致命率は3%に達します。

近年、下水道などの完備等により本邦では少なくなり、まれに魚介類の生食による報告がある程度ですが、発展途上国では未だに一般的な感染症です。
発展途上国に渡航される場合は前もってワクチンを受けておかれることをおすすめします。

ワクチン

当院では国産A型肝炎ワクチン:エイムゲンを接種しています。1歳以上であれば接種可能。
2~4週間の間隔で2回接種し、その約半年後に3回目を皮下または筋肉内に接種します。